「このままで大丈夫?」就業規則の“放置リスク”に気づいていますか?

「このままで大丈夫?」就業規則の“放置リスク”に気づいていますか?
「うちの就業規則、最後に見直したのっていつだったかな?」
経営者や人事担当者の頭をよぎることがある、そんな“ふとした不安”。就業規則は、会社と従業員の約束ごとを明文化した、いわば「職場のルールブック」です。採用や労務管理の基盤であり、トラブルが起きた際の“よりどころ”にもなるもの。それなのに、一度作ったら見直さずに放置してしまっている会社も少なくありません。
なぜ、就業規則の見直しが必要なのでしょうか?
理由は大きく3つあります。
1. 法改正が頻繁に起きている
労働基準法をはじめとする労働関係法令は、ここ数年でも大きく変わっています。たとえば「働き方改革関連法」により、時間外労働の上限規制、年5日の有給休暇の取得義務、同一労働同一賃金などが段階的に義務化されました。さらに、ハラスメント防止措置の義務化、副業・兼業の促進、テレワークに関する対応など、新しい働き方に対応するルールも求められています。
もし、古い就業規則のままで運用していると、知らない間に「法律違反」になっているケースもあります。違反により、行政指導を受けたり、労使トラブルがこじれたりすれば、企業の信用に大きなダメージを与えかねません。
2. 社内の実態と乖離していないか?
企業が成長するにつれ、働き方も変わります。新たな部署ができたり、社員数が増えたり、あるいは外国籍社員やリモートワークが導入されたり。ところが、就業規則が設立当初のままだと、現在の運用とかみ合わなくなっていることがあります。
たとえば、実際にはフレックスタイム制度やテレワークが行われているのに、就業規則にはその記載がない場合、「制度として認められていない」扱いになる可能性があります。従業員とのトラブルが起きた際、会社のルールとして認められなければ、会社が不利になることも。
就業規則は“実態に合わせて定期的にメンテナンスするもの”であることを忘れてはなりません。
3. 従業員との信頼関係にも影響する
就業規則は、企業と従業員との“信頼契約”の一部とも言えます。曖昧なルール、古い情報、不公平に感じる制度は、不満や誤解の原因となります。逆に、「きちんとした就業規則がある」「会社が見直しをしている」という事実は、従業員にとって安心感や信頼につながります。
特に最近は、SNSや口コミなどを通じて企業の内部事情が広まりやすい時代です。「この会社は、制度が曖昧でブラック体質だ」といった印象を与えれば、優秀な人材の採用にも悪影響を及ぼします。
じゃあ、どうすればいいのか?
まずは、自社の就業規則の「棚卸し」をしてみましょう。
- 最終改定日はいつか?
- 現在の働き方と一致しているか?
- 最近の法改正に対応しているか?
こうしたポイントをチェックするだけでも、見直すべき点が見えてきます。社労士などの専門家に相談すれば、リスクの洗い出しや、会社の状況に応じた制度設計も可能です。
まとめ
就業規則は“作って終わり”の書類ではありません。むしろ、企業の成長や変化にあわせて育てていくべきものです。そしてその見直しは、単なる法令対応にとどまらず、組織の健全性を高め、従業員との信頼関係を築くための大切なプロセスなのです。
「問題が起きてからでは遅い」
そう感じた今こそ、就業規則の見直しに取り組む絶好のタイミングです。